骨造成
骨造成とは
歯を失った部分をそのままにしておくと、歯並びの悪化や咀嚼力の低下などの原因となります。しかし、歯をないままにしておくデメリットは、それだけではありません。人体には、刺激を受けていない部分が衰えていくという性質があるため、歯のない部分の顎の骨に刺激が伝わらないことで、少しずつ骨が減ってしまう骨吸収という現象が起こります。
インプラントの治療には、顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込み、しっかりと結合させる必要があります。しかし骨が少なくなってしまうと、インプラントを埋め込んだときにその一部が突き抜け、しっかりと結合させることができません。
『骨造成』は、さまざまな技術で骨を増やし、インプラントの埋入・結合を適切に行なうための治療法です。これにより、「インプラントの治療を行なうための骨が足りない」という問題が解消され、骨が少ない方でも安心して治療を受けられるようになりました。当院では、主に以下のような骨造成を行なっています。
上顎洞底挙上術
上顎洞は上顎の奥歯の上(目の下・鼻の横)辺りに広がる空洞のことで、別名を『サイナス』といいます。上顎の骨は軟らかく、奥歯を失ったときの骨の減少が早いため、インプラントを埋め込んだときにその一部が骨を突き抜け、サイナスに出てしまう可能性が高くなります。『上顎洞底挙上術』は、上顎洞の底部に骨を移植して増やすための治療法で、以下のように『ソケットリフト』と『サイナスリフト』という種類があります。
ソケットリフト
骨が5mm以上あるときに、歯を失った部分から処置する方法です。
歯のない部分の顎の骨に穴をあけ、骨補填材などを入れながらサイナスを覆うシュナイダー膜という膜を押し上げ、骨を増やします。同時にインプラントを埋め込み、骨と結合するまで4ヵ月ほど待ちます。
メリット
- インプラントを同時に埋め込むことで、治療期間が短くなる
- 歯肉を切開しないため、患者さんの負担が小さい
デメリット
- 歯のない部分は狭い空間であり、そこからの処置になるため、骨を少ししかつくれない
- 目で見て確認しながら手術できない
サイナスリフト
骨が5mm以下しかないときに、サイナスの横から処置する方法です。
上顎の歯肉の横を切開し、サイナスを覆うシュナイダー膜という膜を剥して押し上げ、骨補填材などを入れて3~6ヵ月待ちます。それにより新しい骨がつくられ、増やすことができます。
メリット
- サイナスの横の広い空間からの処置になるため、骨を多くつくれる
- 目で見て確認しながら手術できる
デメリット
- 新しい骨がつくられた後にインプラントを埋め込むため、治療期間が長くなる
- 歯肉を切開するため、患者さんの負担が大きい
GBR
『GBR』は骨の再生を促して増やす治療法です。骨を増やしたい部分に自家骨(自分の骨)など入れ、メンブレンという人工膜で覆い、骨が再生されるまで4~6ヵ月ほど待ちます。
ある程度の骨があれば同時にインプラントを埋め込めこめますが、骨が極端に少なければ、骨の再生後に埋め込みます。この方法は治療期間が長くなりますが、骨が少ない状態でインプラントを埋め込んでも長期的な安定は期待できません。そのため、将来の口の健康のためにもGBRを選択するのが適切だと考えられます。
デメリット
- 難しい手術のため技術が必要になる
- 全身疾患をお持ちの方やヘビースモーカーの方には、適用できないことがある