私は、インプラント治療を目指して長年勉強をしてきました。
海外の学会に参加し、インプラント治療に関する情報をできる限り収集し、患者さんに還元することによって信頼を得ようと、これまで努力を重ねてきました。海外の演者の話は、我々にとても有用で歯科医学の新しい情報を提供してくれます。
先日のNHK番組“ためしてガッテン”では、ビタミンDの重要性が取り上げられていました。ビタミンDの欠乏が骨粗鬆症に影響を与える、すなわち骨粗鬆症の引き金になるという情報について、私は4年ほど前にセミナーに参加することによってすでに入手していました。
人間の骨はリモデリングといって、古い骨は絶えず新しい骨に入れ替わっています。しかし、骨粗鬆症を予防する薬を処方されている患者さんは、外科手術を受ける場合に注意しなければなりません。抜歯やインプラント治療などの外科手術を行う場合、術者にその薬が処方されていることを報告しなければなりません。それは、骨の壊死や骨とインプラントがくっつかないなどのトラブルが発生する可能性があるからです。
ビタミンDは、太陽光線を浴びることによって解決できるのですが、紫外線を浴びることによる皮膚がんを恐れるあまり、完全に太陽光線を浴びないようにする若者が増えています。ぜひ、ビタミンDの欠乏には注意してほしいと思っています。
骨の治癒を決めるファクターには、患者さんの「通常の健康状態」「年齢」「ビスフォスホネート製剤の処方の有無」「ビタミンD&コレステロールコントロールのレベル」などのチェックポイントがあります。
特に、ガンの治療を受けている方とビスフォスホネート薬を処方されている方については注意が必要です。
ビスフォスホネートによって骨粗鬆症を予防すれば、骨の代謝に影響を及ぼします。骨のリモデリングが調整され、骨ができにくい状態となっているので、この薬が処方されているかどうかを必ず伝える必要があります。
また、ビタミンDが欠乏している場合は、骨の成長だけでなく、免疫反応にも影響を及ぼし、多くの疾患にもかかわっているというレポートもあります。さらには、糖尿病をはじめ、高血圧・骨代謝制限・心臓血管病・がん・免疫システム不全などの疾患にもかかわっているという報告があることを知っていてもらいたいと思っています。
■2017/06/29