インプラントは、成功率の高い治療法として知られていますが、インプラントも天然歯と同じように歯周病菌に感染します。
天然歯の歯周病が「歯肉だけの炎症である歯肉炎」から「骨まで炎症を起こしている歯周炎」に発展するように、インプラントも顎の骨に影響が及んでいない初期段階の「インプラント周囲粘膜炎」から、骨が吸収された「インプラント周囲炎」の状態に進行するのです。
インプラントと天然歯との大きな違いは、歯根膜と呼ばれるコラーゲン線維がインプラント周囲には存在しないことです。
天然歯に存在する歯根膜は、食物をかみ砕く時、歯に加わる力をコントロールして過剰な力がかからないようにクッションの役割を果たします。
一方インプラントには、この歯根膜がなく、インプラント体が骨と直接結合しています。
過剰な力が補綴物に加わった時にクッションの役割を果たす歯根膜が存在しない分、天然歯よりもインプラントにかかる負担が大きいことが報告されています。
インプラント上部構造のトラブルで多いのは、ネジの緩みや上部構造の破折です。そのため、高分子材料が上部構造のクッション材として使用されることもあります。
天然歯の周囲には、結合組織による強固なシールがあり、細菌から体を守る機能が備わっていますが、インプラントは天然歯と比べてその機能が弱いので、歯磨きをしっかり行わなければなりません。
また、インプラント治療によって、良好な状態で違和感なく食物を噛むことができるようになるので、病院での定期的な検査を受けることがおろそかになりがちですが、このようなトラブルを防ぐためにも定期的な検査を行う必要があります。
検査では、インプラント周囲のポケットの深さを測定し、出血があるかどうかを調べます。病状が進行している場合は、膿が出ることがあります。
さらに当院では、レントゲンによって骨の吸収が発生していないか調べます。その結果、問題があれば徹底したクリーニングを行い、メインテナンス重要性をお伝えするようにしています。
■2021/03/26