当クリニックのイタリア製プラズマクリーナーは、装置内でプラズマとアルゴンガスを使うことによって、セラミック冠・インプラントアバットメント(インプラントに連結するチタン製の土台)・インプラント体・セラミック冠の土台となるジルコニアコーピング(ジルコニアのキャップ)などの表面クリーニングを安全、確実に行うことができます。
従来の歯科技工物クリーニングには、有害な有機溶剤を使う方法や完全とは言えない超音波クリーナーを使用していました。セラミック冠・アバットメント・ジルコニアコーピングは、技工士が手指で持ちながらドリルで削ったりするので油分などの有機物が付着することがあります。また、プラスティック容器に入っているインプラント体は、有効期限内であってもプラスティックの劣化によって炭素元素が出てしまい、チタン表面に付着してできる炭素被膜が骨との結合を阻害することもあります。近年のインプラントは、劣化しないプラスティック容器に入っているものもあるようですが、このような有機物を短時間で除去できるのがプラズマクリーナーなのです。
プラズマ装置の2大効果は、「安全な洗浄作用」と「表面改質(接着効果の向上)」です。
表面改質とは、インプラント体・アバットメントのチタン表面やコーピングのジルコニア表面の性質をプラズマが変えたりすること、つまり親水性を向上(表面張力を低く)させたり、接着効果を高めたりすることです。具体的にはインプラント表面に血液がさっと広がり、骨組織との親和性が高くなって骨結合スピードが速くなるので、感染しにくくなるなど安全性が高くなります。それだけではなく、アバットメントとインプラント体のスクリュウ固定の確実性も期待できます。
さらに、歯肉の中を貫通してくるアバットメントが血液とのぬれが高まることにより歯肉組織との結合が強固になって、バクテリアが歯肉ポケットからインプラントに到達しにくくなります。その結果、インプラント周囲炎や骨吸収を防ぐことも期待できると考えます。
ジルコニアコーピングの表面改質によって、その表面にセラミックを焼き付けやすくする効果もあります。まさに近年インプラント治療には、どんどん有効な尖端技術が開発され、実用化が進んでいるのです。
■2014/05/29