ドイツのDr.シュタイグナーの歯肉(軟組織)についてのセミナーを受講してきました。
講師のセミナーは海外の先生でしたが、人種による歯肉の厚みの違いや、それに伴う反応の違いについて講義する先生は、これまで私が受講した限りいなかったように思います。
今回の講義では人種による軟組織の違いをはじめ、それぞれの骨や歯肉に対しての対応法が学べ、とてもいい勉強になりました。
アジア圏の人は、欧米人と異なって歯肉のタイプがとても薄く、骨も非常にきゃしゃな人が多い状態です。
歯を抜く状態の骨は、歯周病の場合には炎症によって骨の吸収が起こっていますが、虫歯によって歯を抜歯した場合でも、表(唇や頬側)の骨は吸収します。
臼歯部は、炎症によって骨が大きく欠損していても、周囲に骨の壁が全部ある場合は、半年ほど待つことで骨を作らなくてもインプラントを入れることができます(鼻の通り道までの距離がある場合)。しかし、前歯部の場合は、元々の骨がかなりきゃしゃなので、抜歯後はかなり骨が薄く、インプラントを入れるための必要な骨がなくなっている状況が多くあります。
このような場合には、インプラントを入れるための骨を作る必要がありますが、日本人をはじめアジア圏の人は歯肉が薄いため、その形態上の理由から骨のボリュームを増やすことが困難になります。
先月のコラムで、歯を削って被せ物を入れる際、従来の方法だと被せ物を入れた数年経過後に歯肉が退縮し、被せ物と歯の境目が露出する話しをしましたが、歯肉が薄い場合も血液の流れを十分に確保することが困難なため、その結果として歯肉は退縮してしまいます。
現在では、歯の特殊な削り方によって、歯肉の血液の流れも確保でき、歯肉が下がるのを防ぐことができるようになってきています。
患者さま一人ひとりの歯肉には厚みの違いがありますが、基本的にアジア圏の人は歯肉も骨もきゃしゃですから、患者さまそれぞれの歯肉の性質を見極めながら治療を行っていく必要があると考えています。
■2017/04/27